首都は連邦政府の厳しい統制下にあり、トランプ大統領はそれを強化するため非常事態権限の発動を表明している
2021年2月10日、ワシントンDC の米国議会議事堂の外を州兵がパトロールしている。| Jose Luis Magana/AP
ドナルド・トランプ大統領がワシントンD.C.の法執行機関を掌握しようとしていることは、米国の主要都市を軍事化する権限の限界を再び試す機会となった。
他都市とは異なり、首都は連邦政府の厳しい統制下にあり、トランプ大統領はそれを強化する緊急権限の発動を宣言している。しかし、国内治安維持のための軍隊の投入に関する複雑な法律や規則、ワシントンDC の街頭に連邦捜査官を派遣すること、そして同市独自の犯罪対策政策が交錯しているため、法的な不確実性、そして避けられない課題が生じる可能性も依然として残っている。
トランプ大統領はワシントンD.C.の警察を掌握すると表明したが可能なのか?
はい、ただし制限付きで。ホームルール法は、大統領が「緊急事態の特別な状況」と判断した場合、ワシントンD.C.の警察を「連邦目的」のために使用できる権限を付与している。
大統領ははD.C.警察を最大48時間使用でき、特定の議会の委員会リーダーに特別メッセージを送付すれば、最大30日間使用可能となる。
30日を超えて使用するには、議会の承認が必要となる。
月曜日、トランプは自身の管理下にあるD.C.警察が連邦施設と国立記念物を保護すると述べた。これは通常は連邦法執行機関の役割だ。
ワシントンD.C.司法長官のブライアン・シュワルブは、トランプの措置を「前例のない、不要で違法な」ものと批判した。シュワルブは、D.C.に警察部隊の接収を正当化する「犯罪緊急事態」は存在しないと述べました。同地区の暴力犯罪率は30年ぶりの低水準にあると指摘した。
トランプはまた、D.C.に州軍部隊を派遣すると表明した。それを実行できるのだろうか?
はい。トランプ大統領は、50 州の州兵よりも、ワシントンDC の州兵に対しより大きな権限を有している。州兵は州知事が指揮するが(ただし、大統領は緊急事態や戦闘作戦のために州兵を連邦軍に編入することができる)、コロンビア特別区には州知事がいないため、ワシントンDCの州兵は市長に指揮されるわけではありません。ワシントンD.C. の州兵は、常に大統領の直接の指揮下にある。
2025年8月11日、ドナルド・トランプ大統領が、政権閣僚を両脇に、ホワイトハウスのジェームズ・S・ブレイディ記者会見室で記者会見を行っている。| フランシス・チョン/POLITICO
国内法執行のため軍を使用することに制限はないのか?
はい、しかしその制限はワシントンD.C.の州兵には適用されない可能性がある。
1878年に成立した連邦法「ポセ・コミタトゥス法」は、憲法または連邦法の他の規定で認められた場合を除き、文民の法執行のために米軍を使用することを禁じている。
トランプ政権は、6月にカリフォーニア州で移民関連の抗議活動を鎮圧するため同州の州兵を派遣したことについて、現在ロサンゼルスで裁判にかけられている。この裁判では、連邦裁判官が、トランプ大統領の派遣は 1878 年の法律に違反しており、取り消すべきであると判断するか否かが試される。
しかし、ワシントンD.C.での州兵派遣の合法性は異なるかもしれない。ワシントンDCでの州兵派遣は、ワシントンDC の指導者と協力して行われているため、大統領による派遣が法的な抵抗に直面することはほとんどない。また、司法省は、他の州兵とは異なり、ワシントンD.C.州兵は、ポセ・コミタトゥス法に違反することなく、通常の法執行のために使用することができると長年にわたり主張してきた。1989年の司法省法務顧問室の法的見解では、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領は、いわゆる麻薬戦争の一環として、ワシントンD.C.州兵をワシントンD.C. での法執行任務に投入することができると認定されている。
トランプ大統領によるD.C.警備隊の派遣が法廷で争われた場合、裁判官は OLC の見解をほぼ確実に考慮に入れるだろうが、それに従う義務はない。
D.C. を「連邦化」する権限がトランプ大統領にあるのか?
トランプ大統領は、D.C.行政府を単独で支配できない。
憲法は、米国「政府の所在地」について「排他的立法権」を行使する権限を議会に与えている。1973年に「ホームルール法」が成立し、現在に続くD.C.の地方自治が確率された。
同法に基づき、D.C.は日常の地方行政に相当な権限を有している。しかし、連邦政府(米国議会議事堂警察や米国公園警察を含む連邦法執行機関など)は、連邦政府の土地と財産に対する支配権を維持している。また、D.C.の地方政策に関する最終決定権は連邦議会が有している:ホームルール法は、D.C.議会が可決した立法を連邦議会が事実上拒否する権限を付与している。
大統領単独でD.C.政府を「連邦化」する権限はない。その場合、連邦議会がホームルール法を改正する必要がある。
トランプは過去にD.C.に連邦当局を派遣したことがありますか?
はい、トランプはワシントンで連邦当局者と州軍を動員する権限の限界を試してきた。
トランプは、FBI、マーシャルサービス、シークレットサービス、公園警察を含む連邦機関で働く数万人の連邦法執行官に対する指揮権と権限を有している。トランプは2020年6月、ホワイトハウス向かいのラファイエット公園からブラック・ライブズ・マター抗議者を排除するため、こした機関を動員した。
トランプはまた、2021年1月6日に支持者の群衆が議事堂を襲撃した際、包囲された議員を支援するため州軍を急派する措置を講じなかった点でも批判を受けた。トランプの側近は、彼が事前に必要に応じて州郡派遣を承認していたと主張したが、証言によると、トランプは混乱の最中、軍事指導部と連絡を取る努力を一切行わなかったとされていまる。当時副大統領だったマイク・ペンスが連邦政府の対応を急ぐため緊急の電話をかけていたにもかかわらずだ。
トランプは月曜日に、扇動者が警察官に唾を吐きかけたり、顔を近づけて挑発した場合、警察官は「強く反撃するよう」促した。しかし、トランプは1月6日に同じ警察官を攻撃し、負傷させた数百人を恩赦し、その行動を「軽微な行為」と示唆している。■
What Trump can — and can’t — do in his bid to take over law enforcement in DC
The capital is already subject to significant federal control — and Trump is invoking his emergency powers to solidify it.
By Kyle Cheney and Josh Gerstein08/11/2025 12:13 PM EDTUpdated: 08/11/2025 02:05 PM EDT
https://www.politico.com/news/2025/08/11/dc-law-enforcement-national-guard-deployment-00502896
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